高校数学の解き方

高校数学の教科書や大学入試の問題を解いてみます。簡潔で分かりやすい解答で、模範解答に近いものを目指します。

数学(理系)の第2問(2017大阪大学入試)

問題

          第 2 問

 複素数\; z\; \; z^5=1\; を満たし,実部と虚部がともに正であるものとする。硬貨を投げて表が出れば\; 1\; ,裏が出れば\; 0\; とし,5\; 回投げて出た順に\; a_0,\; a_1,\; a_2,\; a_3,\; a_4\; とおく。複素数\; w\; \; w=a_0+a_1z+a_2z^2+a_3z^3+a_4z^4\; と定める。

(1)\; \; 5回とも表が出たとする。w\; の値を求めよ。

(2)\; \; a_0=a_2=a_3=0,\; a_1=a_4=1\; のとき,|w| \lt 1\; であることを示せ。

(3)\; \; |w| \lt 1である確率を求めよ。

解答

z^5=1\; から |z|^5=|z^5|=1\; より |z|=1

また,方程式\; z^5=1\; の解のうち,実部と虚部がともに正であるものは

     \displaystyle z=\cos \frac{2\pi }{5 } +i\, \sin \frac{2\pi }{5 }

(1)\; \; a_0=a_1=a_2=a_3=a_4=1\; だから w=1+z+z^2+z^3+z^4

  z^5=1,\; z\neq 0だから

     \displaystyle w=1+z+z^2+z^3+z^4=\frac{1-z^5 }{1-z }=0

(2)\; \; a_0=a_2=a_3=0,\; a_1=a_4=1\; だから w=z+z^4=z^4(z^{-3}+1)

  z^5=1\; から z^{-3}=z^2\; より w=z^4(1+z^2)

     \displaystyle |1+z^2|=\left| 1+\left( \cos \frac{2\pi }{5 } +i\, \sin \frac{2\pi }{5 } \right)^2 \right| =\left| 1+ \cos \frac{4\pi }{5 } +i\, \sin \frac{4\pi }{5 }  \right|

         \displaystyle =\sqrt{ \left( 1+ \cos \frac{4\pi }{5 } \right)^2 + \sin ^2 \frac{4\pi }{5 } }=\sqrt{ 2 \left( 1+ \cos \frac{4\pi }{5 } \right) }

         \displaystyle =2  \cos \frac{2\pi }{5 } \lt 2 \cos \frac{\pi }{3 } =1

  よって |w|=|z^4(1+z^2)|=|z|^4|1+z^2| \lt 1

(3)\; \; w=z^n+z^{n+1}\; \; (n=0,\; 1,\; 2,\; 3,\; 4)\; とする。

     \displaystyle |w|=|z^n+z^{n+1}|=|z|^n|1+z|=|1+z|=\left| 1+ \cos \frac{2\pi }{5 } +i\, \sin \frac{2\pi }{5 }  \right|

      \displaystyle \; \; =\sqrt{ \left( 1+ \cos \frac{2\pi }{5 } \right)^2 + \sin ^2 \frac{2\pi }{5 } }=\sqrt{ 2 \left( 1+ \cos \frac{2\pi }{5 } \right) }

      \displaystyle \; \; =2  \cos \frac{\pi }{5 } \gt 2 \cos \frac{\pi }{3 } =1 \cdots (\mathrm{A})

  (2)\; より w=z^n+z^{n+2}\; \; (n=0,\; 1,\; 2,\; 3,\; 4)\; とすると

     |w|=|z^n+z^{n+2}|=|z|^n|1+z^2|=|1+z| \lt 1 \cdots (\mathrm{B})

  ここで,1,\; z,\; z^2,\; z^3,\; z^4\; は単位円を\; 5\; 等分する各分点である。

  [1]\; 表が\; 0\; 回のとき

    |w|=0\; だから |w| \lt 1\; であるのは\; 1\; 通り

  [2]\; 表が\; 1\; 回のとき

    表裏の出方は  {}_5 \mathrm{C} _1=5\; 通りあり,w=1,\; z,\; z^2,\; z^3,\; z^4\;

    よって |w|=|z^n|=|z|^n=1\; \; (n=0,\; 1,\; 2,\; 3,\; 4)\;

  [3]\; 表が\; 2\; 回のとき
 
    表裏の出方は  {}_5 \mathrm{C} _2=10\; 通りある。

    単位円上の隣り合う\; 2\; 点の和は 5\; 通りあり,その大きさは (\mathrm{A})\; より |w| \gt 1\; である。

    単位円上の\; 1\; つおきの\; 2\; 点の和の大きさは (\mathrm{B})\; より |w| \lt 1\; となり,5\; 通りある。

  [4]\; 表が\; 3\; 回のとき

    単位円上の\; 3\; 点の和は (1)\; より

    w=z^{n_0}+z^{n_1}+z^{n_2}=-\{ z^{n_3}+z^{n_4} \}

      \; \; (n_0,\; n_1,\; n_2,\; n_3,\; n_4\; は重ならないように\; 0,\; 1,\; 2,\; 3,\; 4\; のいずれか\; )

    |w|=|z^{n_0}+z^{n_1}+z^{n_2}|=|z^{n_3}+z^{n_4}|

    よって [3]\;と同様にして,|w| \lt 1\; となるのは 5\; 通りある。

  [5]\; 表が\; 4\; 回のとき

    単位円上の\; 4\; 点の和は (1)\; より

    w=z^{n_0}+z^{n_1}+z^{n_2}+z^{n_3}=-z^{n_4}

      (n_0,\; n_1,\; n_2,\; n_3,\; n_4\; は重ならないように\; 0,\; 1,\; 2,\; 3,\; 4\; のいずれか\; )

    |w|=|z^{n_0}+z^{n_1}+z^{n_2}+z^{n_3}|=|z^{n_4}|

    よって [2]\;と同様にして\; 5\; 通りあるが,いずれも大きさが\; 1\; となる。

  [6]\; 表が\; 5\; 回のとき

    w=1+z+z^2+z^3+z^4=0\; だから |w| \lt 1\; であるのは\; 1\; 通り

 以上より,求める場合の数は 1+5+5+1=12\; 通りで,その確率は

    \displaystyle \frac{12 }{2^5 } = \frac{3 }{8 }

 

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