高校数学の解き方

高校数学の教科書や大学入試の問題を解いています。簡潔で分かりやすい解答、模範解答を目指します。

長期休暇にしたこと

 高校2年生の夏休み、私はひたすら読書をした。メンバーの違うキャンプに3度行ったが、それ以外は家にいた。夏の甲子園は見ていたかもしれないが、ヒマを持て余す毎日だった。

 父が買い揃えた、箱型のカバーに入った文学全集が、書斎のガラス窓付きの本箱に飾られていた。小学校の校長だった父は、職場に出入りする業者に頼まれて断れなかったのだと思う。ほかにも、百科事典や美術辞典など、多数並んでいた。

 一度も読まれた形跡のない本を、丁寧に開いて、しわが付かないよう気をつけて読んだ。ただただ読み続けた。今の時代なら、ブログやツイッターに感想を書いてもいいだろう。だが感想文となると、大げさにもなるし、ハードルも高い。親が子に読書をさせようとすると、ついつい感想文を書かせてしまう。読書が主か、感想文が主か、よく考えたほうが良い。

 親に言われたわけでもなく、学校の宿題でもない。ただのヒマつぶしだった。日本文学全集と世界文学全集、全〇〇巻。

 気が付くと夏休みも終わりに近づき、ずいぶん読んだが、まだ残っていた。ヒマつぶしの目的は果たしたが、残していると気になる性格だ。結局、2学期が始まっても、しばらくは読書が続いた。そして、完全読破の日が来た。達成感と充実感で、私の心は満たされていた。

 この高揚感で高2の後半を過ごしたような気がする。学園祭の演劇では主役をやり、修学旅行前には5人の女子から告白された。そして、学年末には好きな女子に告白して、フラれた。今なら、自分からの告白はやめて、告白された5人の女子と上手に付き合うだろう。

 断っておくが、部活もしない、読書に励んでいたという事実だけで人物像を想像しないほうが良い。成績は学年トップだが、遊び仲間は不良っぽい連中だった。一番の親友と、ライバルの二人以外は私の成績を知らない。

 エピソードを2つ。

 高1の4月の化学の時間、化学式100問のテストがあった。もちろん出る問題は事前に知らされていた。出題プリントが配られ、「毎年やっているが、これまでの最短記録は12分だ。」と先生が告げて、テストが始まった。6分で提出したときの先生の顔が忘れられない。

 山登りの遠足のとき、クラスで各自持ってきたお弁当を真ん中に集めた。誰がどれを食べても良いというルールで、できるだけ他人の物を食べた。ものすごく盛り上がった。その後、4人だけ抜け出して、山を下り、近くの友達の家でマージャンをした。犯罪を犯さないが大人にこびない不良というポジションが、妙に心地よかった。

 話をもとに戻すと、大学入試の国語の読解で、作者を問う問題が出た。高2の夏休みに読んだ本だった。細かくは覚えていなかったが、だいたいのストーリーと作者は覚えていた。もちろん他の設問にも答えることができたので、国語の点数はよかった。

 今、学校は長期休暇のようなものだが、こんなときこそ普段できないことができる。それぞれ工夫すると良いだろう。

 ところで、あの文学全集を去年処分した。ブックオフに持って行ったのだが、1円にもならなかった。やはり古すぎた。父は、全集で揃えておくと将来財産になるなどと勧められたのだろう。父は無駄なお金を使ったが、私がそれを活かしたことになる。ちなみに百科事典は3年経つとブックオフでは値段がつかなくなるのだそうだ。