2021年度灘中学校入試問題を解いてみました。中学入試問題は、注意深く解かないと、数学の概念を使ってしまいます。そうならないよう、算数の範囲で解きました。
問題
次の問題のに当てはまる数を求めなさい。
解答
三角形の面積がだから、を底辺とする高さは
である。図は次のように通り考えられる。また、からへ、からへの垂線をひき、それぞれとする。
上側の図において、より、三角形の面積は、
だから、である。また、三角形の面積は、
だから、である。
よって、三角形の面積は、
である。また、三角形の面積は、
である。よって、三角形と三角形の面積の比は、
である。底辺を共通のとすると、これらの三角形の高さの比は、
である。三角形は三角形を拡大した図形になっていて、
だから、倍となっている。よって、の長さはの長さの倍である。
また、下側の図においても、まったく同じようにして解けて、同じ答えになる。
(答)倍
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上の図において、とが垂直であるかどうかの検討は、算数の範囲では難しいので、数学(ベクトル)でやることにした。
とする。
より、だから、
だから、
よって、とは垂直ではない。
感想
数学の概念を使って解くときは、は必要ない。この2辺の長さが違う長さであっても、他の条件を満たしていれば、答も解き方も変わらない。それは数学の概念、とくに相似の考え方を使っているからである。三角形の形がどんな形であっても、必要な条件さえ満たしていれば、同じ答えになる。
ところが、算数では、三角形の形がどんな形であっても結果が同じになることの基礎になる相似という概念を学習していない。もちろんベクトルも知らない。したがって、を与えることによって、つの図形に限定するのである。図形が確定すれば、余計な概念を使わなくても、算数の範囲で解ける問題になる。
以上のように考えて、通りの図を書いて、その図形に基づいて算数の範囲で解いたのが上に示した解答である。