高校数学の解き方

高校数学の教科書や大学入試の問題を解いています。簡潔で分かりやすい解答、模範解答を目指します。

数学(理系)の第4問(2019広島大学入試)

問題

          第 4 問

 i \; 虚数単位とし、複素数\; z \; に対して、

     w=z^2+2z+1-2i

とおく。次の問いに答えよ。

(1) \; \; w \; の実部が\; 0 \; となる複素数\; z \; 全体を複素数平面上に図示せよ。

(2) \; \; w=0 \; を満たす複素数\; z \; の個数は\; 2 \; 個であることを証明し、それぞれを\; a+bi \; \; (a,\; b \; は実数\; ) \; の形に書き表せ。

(3) \; \; (2) \; で求めた二つの複素数のうち実部の大きい方を\; \alpha \; 、実部の小さい方を\; \beta \; とし、対応する複素数平面上の点をそれぞれ\; \mathrm{A},\; \mathrm{B} \; とする。また、線分\; \mathrm{AB} \; の中点を\; \mathrm{M} \; とする。複素数\; z \; に対応する複素数平面上の点が、線分\; \mathrm{AM} \; 上(両端を含む)を動くとき、複素数\; w \; の描く図形を複素数平面上に図示せよ。

(4) \; \; 複素数\; z \; に対応する複素数平面上の点が、点\; \mathrm{A} \; を通り線分\; \mathrm{AB} \; に垂直な直線上を動くとき、複素数\; w \; の描く図形を複素数平面上に図示せよ。

解答

z=x+yi \; \; (x,\; y \; は実数\; ) \; とすると、

w=z^2+2z+1-2i=(x+yi)^2+2(x+yi)+1-2i= \{ (x+1)^2-y^2 \} + \{ 2y(x+1)-2 \} i \; \; \cdots (\ast)

(1) \; \; w \; の実部が\; 0 \; だから、\; (x+1)^2-y^2=0 \;

よって、y= \pm (x+1) \; となるから、複素数\; z \; 全体を複素数平面上に図示すると、直線\; y=x+1 \; と直線\; y=-x-1 \; である。(図は省略)

 

(2) \; \; w=0 \; だから、実部も\; 0 \; 、虚部も\; 0 \; となる。虚部が\; 0 \; となるのは、(\ast) \; から\; 2y(x+1)-2=0 \;

x=-1 \; のとき、虚部は\; 0 \; とならないから、x \neq -1 \; より

   \displaystyle y= \frac{1}{x+1} \;

これは、直線\; x=-1,\; \; y=0 \; を漸近線とする双曲線である。

実部が\; 0 \; となる直線\; y=x+1 \; との共有点は、\; 2 \; 点である。直線\; y=-x-1 \; との共有点はない。よって、w=0 \; を満たす複素数\; z \; の個数は\; 2 \; 個である。(図は省略)

この共有点を求める。\displaystyle y=x+1,\; \; y= \frac{1}{x+1} \; を連立して解くと、x=0,\; \; -2

よって、(x,\; \; y)=(0,\; \; 1),\; \; (-2,\; \; -1) \; だから、\; z=i,\; \; -2-i \;

 

(3) \; \; \alpha =i,\; \; \beta =-2-i \; だから、A(i),\; B(-2-i) \; より\; M(-1) \;

よって、z=x+yi \; は線分\; y=x+1 \; (-1 \leqq x \leqq 0)上を動く。よって、(\ast) \; から

w=u+vi \; \; (u,\; v \; は実数\; ) \; とすると、

u=(x+1)^2-y^2=(x+1)^2-(x+1)^2=0

v=2y(x+1)-2=2(x+1)(x+1)-2= 2(x+1)^2 -2

よって、u=0, \; \; -2 \leqq v \leqq 0 \;  だから、複素数\; w \; の描く図形は、虚軸上の\; -2 \leqq y \leqq 0 \; の部分の線分である。(図は省略)

 

(4) \; \; 複素数\; z \; は直線\; y=-x+1 \; 上を動くから、(3) \; と同様にして、

w=u+vi \; \; (u,\; v \; は実数\; ) \; とすると、

u= (x+1)^2-y^2 =(x+1)^2-(-x+1)^2 =4x

v= 2y(x+1)-2 = 2(-x+1)(x+1)-2 = -2x^2

よって、\displaystyle \; v=- \frac{1}{8} u^2 \;

したがって、複素数\; w \; の描く図形は、放物線\displaystyle \; y=- \frac{1}{8} x^2 \; \; \; (図は省略)

 

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