ーーーーーーー下のほうに、少し意見を書いてみました。-------------------------------------------------------------------------
問題
点を通り、円に接する直線の方程式と、接点の座標を求めよ。
解答
直線は接線ではないから、接線は
(ア)
と表せる。これを円の方程式に代入して整理すると、
(イ)
このの次方程式の判別式をとすると、
これを解くと、
のとき、
接線の方程式は(ア)より、(ウ)
接点の座標は、を(イ)に代入して、
より、
これを(ウ)に代入して、
よって、接点の座標は、
のとき、
接線の方程式は(ア)より、(エ)
接点の座標は、を(イ)に代入して、
より、
これを(エ)に代入して、
よって、接点の座標は、
検討
この問題には他にも解き方があります。(もちろん、どの問題にも別解はあるものです。)論証幾何、三角比、ベクトルなど他分野の概念を持ち込む解き方を除いても、つまり数Ⅱの「図形と式」で扱われる解き方に制限しても、いろいろ考えられます。
例えば、「点と直線の距離」の公式、つまり、点と直線の距離は
を利用するもの。
他にも、「円の接線」の公式、つまり、円上の点におけるこの円の接線の方程式は
を利用するもの。ただし、この式は教科書で扱っていないため、この式を導く過程を含めて解答を作る必要があります。
また、円の中心が原点になるよう平行移動して解くという方法もあります。この方法なら、「円の接線」の公式、つまり、円上の点におけるこの円の接線の方程式は
が使えます。
遠回りしても良ければ、他にも考えられるでしょう。この中で上のような解答を選んだのは、それなりの理由があります。
接線の方程式だけ求めるなら、「点と直線の距離」の公式でも良いし、答えが出たらそれで良いなら、「円の接線」の公式でも良いでしょう。
この問題の場合、接線の方程式と接点の座標を求めるので、この方法が最もふさわしいという判断で、この解き方を選んでします。甲乙つけがたい別解があると考える場合は、別解も併記しています。
この問題を解こうとする高校生に対して、細かい解説をしないことで、逆に想像力をかきたてようとしています。自分の解き方と違っていて良いのです。その場合は、まず自分の解き方の論理的な完成度を上げましょう。それから、上の解き方はどんな方針に基づいているのか、途中分かれ道がある場合、なぜその道を選んだのか考えてみてください。それが正解である必要はありません。自分の中で納得すれば、それで良いと思います。
料理の上手な人にレシピは必要ありません。同じ材料で、無限の種類の料理を作ることができます。同じように、数学の得意な人に解き方のテクニックは必要ありません。問題の意味を理解すれば、解き方は無限にあります。必要なのは、問題の意味を理解するための知識と想像力です。知識は教科書で学び、想像力は他人の解き方で刺激を受けてください。
追記
数学が得意な人と書きましたが、不得意な人も同じです。まずは、概念を教科書でしっかり理解しましょう。(不得意な人に限って、教科書を自分で読むということをしていませんね。)理解が不十分で解法のテクニックばかり覚えても、あまり意味がなく、むしろそれに費やす時間がもったいないです。「東大までの人」という言葉があるようですが、大学入試がゴールではありません。どの大学に入ったかではなく、どのように過ごしたかが重要です。
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