高校数学の解き方

高校数学の教科書や大学入試の問題を解いています。簡潔で分かりやすい解答、模範解答を目指します。

数学(理系)の第2問(2019広島大学入試)

問題

          第 2 問

 箱の中に\; 1 \; から\; N \; までの数が一つずつ書かれた\; N \; 枚のカードが入っている。ただし、N \; \; 2 \; 以上の自然数とする。「カードをよく混ぜて\; 1 \; 枚取り出し、そのカードに書かれた数を読み取り、そのカードをもとに戻す」という試行を\; 4 \; 回繰り返す。1 \; 回目、2 \; 回目、3 \; 回目および\; 4 \; 回目に取り出したカードに書かれた数を、それぞれ\; a_1,\; a_2,\; a_3,\; a_4 \; とする。また、座標平面上に\; 4 \; \; \mathrm{P}_1(a_1,\; \; 0),\; \mathrm{P}_2(a_1,\; \; a_2),\; \mathrm{P}_3(a_1-a_3,\; \; a_2),\; \mathrm{P}_4(a_1-a_3,\; \; a_2-a_4) \; を定める。次の問いに答えよ。

(1) \; \; \mathrm{P}_4 \; が原点\; \mathrm{O}(0,\; \; 0) \; に一致する確率を\; N \; を用いて表せ。

(2) \; \; \mathrm{P}_4 \; が連立不等式\; x \geqq 0,\; \; y \leqq 0 \; の表す領域にある確率を\; N \; を用いて表せ。

(3) \; \; \mathrm{P}_4 \; が直線\; y=x \; 上にある確率を\; N \; を用いて表せ。

(4) \; \; N=2^m \; とする。ただし、m \; 自然数とする。\mathrm{P}_4 \; が原点\; \mathrm{O} \; に一致し、かつ、四角形\mathrm{P_1P_2P_3P_4} \; の面積が\; 2^m \; となる確率を\; m \; を用いて表せ。

 

解答

すべての場合の数は\; N^4 \; 通りである。

(1) \; \; a_1-a_3=0, \; \; a_2-a_4=0 \; となればよい。

1 \; 回目と\; 3 \; 回目で、a_1-a_3=0 \; となるのは\; N \; 通り

2 \; 回目と\; 4 \; 回目で、a_2-a_4=0 \; となるのは\; N \; 通り

よって、\mathrm{P}_4 \; が原点\; \mathrm{O}(0,\; \; 0) \; に一致するのは、

     N \times N =N^2 \; (通り)

したがって、求める確率は

     \displaystyle \frac{N^2}{N^4} = \frac{1}{N^2}

 

(2) \; \; a_1-a_3 \geqq 0, \; \; a_2-a_4 \leqq 0 \; となればよい。

1 \; 回目と\; 3 \; 回目で、a_1-a_3 \lt 0 \; となるのは\; {}_N C _2 \; 通りだから、a_1-a_3 \geqq 0 \; となるのは

     \displaystyle N^2- {}_N C _2 =N^2- \frac{N(N-1)}{2} = \frac{N(N+1)}{2} \; (通り)

2 \; 回目と\; 4 \; 回目で、a_2-a_4 \gt 0 \; となるのは\; {}_N C _2 \; 通りだから、a_2-a_4 \leqq 0 \; となるのは、同様にして
     \displaystyle \frac{N(N+1)}{2} \; (通り)

よって、\mathrm{P}_4 \; がこの領域にあるのは、

     \displaystyle \frac{N(N+1)}{2} \times \frac{N(N+1)}{2} = \frac{N^2(N+1)^2}{4} \; (通り)

したがって、求める確率は

     \displaystyle \frac{ \frac{N^2(N+1)^2}{4} }{N^4} = \frac{(N+1)^2}{4N^2}

 

(3) \; \; \; \mathrm{P}_4 \; が点\; (k,\; \; k) \; \; (1 \leqq k \leqq N-1 )に一致する場合の数を求める。

1 \; 回目と\; 3 \; 回目で、a_1-a_3=k \; となるのは\; ( N-k ) \; 通り

2 \; 回目と\; 4 \; 回目で、a_2-a_4=k \; となるのは\; ( N-k ) \; 通り

よって、\mathrm{P}_4 \; が点\; (k,\; \; k) \; に一致するのは、

     ( N-k ) \times ( N-k ) =N^2-2Nk+k^2 \; (通り)

1 \leqq k \leqq N-1 \; となる場合の数は

     \displaystyle \sum_{k=1}^{N-1} ( N^2-2Nk+k^2 )

     \displaystyle  = N^2(N-1)-2N \times \frac{1}{2} N(N-1) + \frac{1}{6} N(N-1)(2N-1)

     \displaystyle  = \frac{1}{3} N^3 - \frac{1}{2} N^2 + \frac{1}{6} N \; (通り)

-(N-1) \leqq k \leqq -1 \; となる場合の数もこれと同数あり、さらに原点\; \mathrm{O} \; に一致する場合が\; (1)\; のようにあるから、\mathrm{P}_4 \; が直線\; y=x \; 上にある場合の数は、

     \displaystyle \left( \frac{1}{3} N^3 - \frac{1}{2} N^2 + \frac{1}{6} N \right) \times 2+ N^2 = \frac{2}{3} N^3 + \frac{1}{3} N \; (通り)

したがって、求める確率は

     \displaystyle \frac{ \frac{2}{3} N^3 + \frac{1}{3} N }{N^4} = \frac{2N^2+1}{3N^3}

 

(4) \; \; \mathrm{P}_4 \; が原点\; \mathrm{O} \; に一致して、a_1-a_3=a_2-a_4=0 \; だから

     \mathrm{P}_1(a_1,\; \; 0),\; \mathrm{P}_2(a_1,\; \; a_2),\; \mathrm{P}_3(0,\; \; a_2),\; \mathrm{P}_4(0,\; \; 0) \;

となり、四角形\mathrm{P_1P_2P_3P_4} \; は長方形だから、その面積は

     a_1a_2=2^m

これを満たす\; (a_1,\; \; a_2) \; の組は、2^m \; の約数の個数に一致して\; ( m+1 ) \; 通りある。

したがって、求める確率は

     \displaystyle \frac{m+1}{N^4} = \frac{m+1}{(2^m)^4} = \frac{m+1}{2^{4m}}

 

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