高校数学の解き方

高校数学の教科書や大学入試の問題を解いています。簡潔で分かりやすい解答、模範解答を目指します。

数学(医系)の第4問(2010千葉大学入試)

あの問題を解いてみた。

引用する方法を知らないので、もう一度問題文を載せる。

最後に、同じような経験談を載せることにした。

 

問題

          第 4 問

 以下の問いに答えよ。

(1) \; \; 3^n=k^3+1 \; を満たす正の整数の組\; (k,\; n) \; をすべて求めよ。

(2) \; \; 3^n=k^2-40 \; を満たす正の整数の組\; (k,\; n) \; をすべて求めよ。

 

解答

(1) \; \; 3 \; で割ったときの余りに注目する。

\; k=3j+1 \; \; (j \; \; 0 \; 以上の整数とする。)\; のとき、

   \; 3^n=k^3+1=(3j+1)^3+1=3(9j^3+9j^2+3j)+2 \;

左辺は余り\; 0 \; 、右辺は余り\; 2 \; だから、これを満たす\; j \; はない。

\; k=3j \; \; (j \; \; 1 \; 以上の整数とする。)\; のとき、

   \; 3^n=k^3+1=(3j)^3+1=3\cdot 9j^3+1 \;

同様にして、これを満たす\; j \; はない。

\; k=3j-1 \; \; (j \; \; 1 \; 以上の整数とする。)\; のとき、

   \; 3^n=k^3+1=(3j-1)^3+1=3^2 \cdot j\{ 3j(j-1)+1\} \;

\; 3j(j-1)+1 \; \; 3 \; で割りきれないから、これを満たすのは\; j=1 \; だけである。このとき、\; k=2,\; n=2 \;

以上より、\; (k,\; n)=(2,\; 2) \;

 

(2) \; \; 4 \; で割ったときの余りに注目する。

   \displaystyle \; 3^n=(4-1)^n= \sum_{r=0}^n {}_n C _r 4^{n-r}(-1)^r \;

    \displaystyle \; = \sum_{r=0}^{n-1} {}_n C _r 4^{n-r}(-1)^r +{}_n C _n (-1)^n \;

    \displaystyle \; =4 \sum_{r=0}^{n-1} {}_n C _r 4^{(n-1)-r}(-1)^r +(-1)^n \;

よって、これを\; 4 \; で割ったときの余りは、\; n \; が奇数なら\; -1 \; \; n \; が偶数なら\; 1 \; となる。

次に、

\; k=4l \; \; (l \; \; 1 \; 以上の整数とする。)\; のとき、

   \; k^2-40=(4l)^2-40=4(4l^2-10) \;

\; k=4l+1 \; \; (l \; \; 0 \; 以上の整数とする。)\; のとき、

   \; k^2-40=(4l+1)^2-40=4(4l^2+2l-10)+1 \;

\; k=4l+2 \; \; (l \; \; 0 \; 以上の整数とする。)\; のとき、

   \; k^2-40=(4l+2)^2-40=4(4l^2+4l-9) \;

\; k=4l+3 \; \; (l \; \; 0 \; 以上の整数とする。)\; のとき、

   \; k^2-40=(4l+3)^2-40=4(4l^2+6l-8)+1 \;

したがって、\; n \; が偶数で、\; k=4l+1 \; または\; 4l+3 \; のときだけ、両辺の余りが一致する。

よって、\; n=2m \; \; (m \; \; 1 \; 以上の整数とする。)\; として、与式に代入すると、

   \; 3^{2m}=k^2-40 \;

これより、\; (k+3^m)(k-3^m)=40 \;

\; k+3^m \; \; k-3^m \; は、和が\; 2k \; で、積が\; 40 \; \; 2 \; つの正の整数だから、

   \; 2k=10+4 \; または\; 2k=20+2 \;

となる。よって、\; k=7,\; 11 \;

以上より、\; (k,\; n)=(7,\; 2),\; (11,\; 4) \;

 

雑談

 中学を卒業して、高校に入学するまでの春休み。ほんとにヒマだった。今のように、高校からの宿題はなかった。入学していないのだから、宿題を出される理由はない。そんな風に考えていた。

 そのほぼ一か月、あることに熱中した。「頭の体操」だ。多湖輝著のクイズ、パズルの本。自分の答えが、勘ではない答えが出るまで、次のページにある答えを見なかった。見たくなかった。時には数日、同じ問題を考えていた。

 答えがあっていても、違う理由が書いてあると、自分の理由のほうが簡潔で分かりやすいと考えようとした。書かれている説明を、自分流に解釈しなおしていた。

 それから2年後。大学受験に向けて勉強を始めても、その姿勢は変わらなかった。数学に限らず、納得のいく理由のないものは受け入れがたかった。たとえば、社会の歴史では、なぜそうなったのか、その後どうしてそんな風になったのか。つねに、教科書や資料集で確認した。はっきりしないときも、自分なりの理由を考えた。

 結果、得意の数学・物理・英語より、国語や世界史のほうが入試で良くできた。とくに世界史は満点だった。

 受験勉強に参考書は必要ない。そもそも大学入試問題というものは、教科書の内容が理解できているかどうかを確かめるものだ。内容を解説した参考書は、教科書より詳しくてわかりにくい。解き方は自分で見つけるものだから、それを書いた参考書は意味がない。ただし解答例は必要だ。それを模範解答と呼ぶが、真似をしろという意味ではない。それを参考にして、自分の解答を作れば良い。

 勉強のやり方も、問題の解き方も、人の真似をしても意味がない。自分にあったやり方は、自分で見つける。試行錯誤して。もし、今高3なら、半年は試行錯誤して、残りの半年で成果を出す。模試の結果が悪くて志望校を考え直せと言われても、自分を信じること。

 確かに模試は悪かった。ずっと判定Dだったが、最終回でいきなりAになった。振り返ると、英単語や歴史年表、数学や物理の公式などを覚えようとしていたのは、試行錯誤の時期だった。意味も分からず丸覚えをするのは、自分には向かないと悟るのに半年かかった。結局、理解して納得するのが大切だった。

 このブログの解答も、「頭の体操」のように、何日も考えることがよくある。解答ができると、答え合わせをする。入試問題は、予備校の解答速報。教科書章末問題は、巻末の解答・解説。あとから出すのだから、それらより優れていなくてはいけない。少なくとも自分ではそう思っている。

 ただし、解法が複数できる場合がある。そんなときは、まずその問題はどの分野の問題か考え、その分野で学習したことを使って解くようにしている。たとえば、複素数の問題は、複素数の分野で解きたい。図形や関数を使って解くのは、やむを得ないときに限る。

 上の問題も、「割り算の余りの性質」は教科書では発展扱い、「合同式」は学習指導要領の範囲を超えている。これはできれば使いたくない。出題者が想定した解答には含まれているかもしれないが。

 出題者が想定した解答で、教科書の範囲内、それが扱われている単元(分野)の範囲で解答を作る。これがこのブログのポリシー。

 毎日、一問投稿することに疲れてきた。

 しばらく間を置くことになるだろう。

 

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