高校数学の解き方

高校数学の教科書や大学入試の問題を解いています。簡潔で分かりやすい解答、模範解答を目指します。

演習問題Bの5(p.66,数学Ⅰ,数研,改訂版)

問題

{\Large 5}. \; \; a,\; b \; は実数とする。次の命題の真偽を調べ、真である場合には証明し、偽である場合には反例をあげよ。

(1) a,\; b\; がともに無理数ならば、a+b\; 無理数である。

(2) a,\; b\; がともに無理数ならば、a+b,\; a-b\; の少なくとも一方は無理数である。

(3) a,\; b\; がともに無理数ならば、a+b,\; ab\; の少なくとも一方は無理数である。

(4) a\; 有理数かつ\; b\; 無理数ならば、ab\; 無理数である。

 

解答

(1) a=\sqrt{2},\; b=-\sqrt{2}(反例)とすると、

 a+b=\sqrt{2}+\big(-\sqrt{2}\big)=0\; 無理数ではない。

 よって、この命題は偽である。

 

(2) この命題の対偶は次の命題である。

   a+b,\; a-b\; がともに有理数ならば、a,\; b\; の少なくとも一方は有理数である。\cdots (\ast)

 a+b=p,\; a-b=qp,\; q\; 有理数)とすると、

 \displaystyle a=\frac{p+q}{2},\; b=\frac{p-q}{2}\; となり、a,\; b\; はともに有理数である。

 よって、命題\; (\ast)\; は真であり、もとの命題も真である。

 

(3) a=\sqrt{2},\; b=-\sqrt{2}(反例)とすると、

 a+b=\sqrt{2}+\big(-\sqrt{2}\big)=0,\;

 ab=\sqrt{2}\times\big(-\sqrt{2}\big)=-2\; はともに無理数ではない。

 よって、この命題は偽である。

 

(4) a=0,\; b=\sqrt{2}(反例)とすると、

 ab=0\times\sqrt{2}=0\; 無理数ではない。

 よって、この命題は偽である。

 

このブログの目的

 高校数学の教科書の問題に、解答を作り、投稿しているねらいについてお話します。
 教科書の章末問題B(この教科書は演習問題B)は、センター試験レベル(マークシート方式と出題形式が違うので、比較するのは難しいですが、)だと言われています。答えと簡単なヒントは、教科書巻末に載っています。章末問題まで授業中または宿題でやる学校は、少ないのではないかと思っています。教科書の内容をはみ出さないように作られるセンター試験の対策として、この章末問題をやることは大切だと思います。
 すると、高校生各自がやることになりますが、答え合わせや解けないときに困ります。教科書ガイドという出版物が売られていますが、章末問題だけのために購入する人はまずいないでしょう。
 ここに需要があるのではないかと考えています。教科書の問題に解答をつけることに、違和感や拒否反応を示される方が一定程度おられるのではないかという推測はしています。しかし、それ以上に高校生が、高校の授業でやらなかった章末問題を、それぞれの意思と意欲でチャレンジしようとするならば、それを応援したいと考えます。
 休校になっている今の時期、学年のまとめと実力養成のため、教科書の章末問題に、高校生たちが取り組んでほしいと願っています。

 

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